映画「明日の記憶」(ネタバレ注意です!)

先日、友人と「明日の記憶」を見てきました。
以前にも書きましたが、私は基本的に、こういう映画をわざわざ映画館に見に行きません。映画はストレスの発散のために行くので、気持ちが重くなるようなものを普通は選ばないのです。しかし、今回、シネコンのポイントがたまり、無料招待券がもらえたので、有料ならば見ないような映画に使おうと思って、これに決めたという次第です。

この話、「若年性アルツハイマー」をテーマとした映画です。いかにも重そうでしょ?
バリバリの広告代理店の営業部長である主人公(渡辺謙)が、急に物忘れがひどくなり、重要なアポを忘れる、同じものばかり、何回も何回も買って帰る…おかしいと思ってついに医者に行くと、「アルツハイマー」であると診断をされる…。

まだ49歳でもアルツハイマーになるんですね、64歳以下でなるアルツハイマーを「若年性アルツハイマー」というんだとか。64歳って若年か?っても思うけど。

映画を見ての感想を言いますと、映画の出来としてはなかなか、良かったと思います。見終わった瞬間そう思いました。見終わった瞬間の感想が、一番「本当の自分の感想」だと思うので。

かなり泣けたけど、最初のほうは、泣けるより、怖かったなぁ。ヒッチコックの映画見てるときみたいな怖さを感じました。どんどん、物忘れしていく主人公の様子に、「この程度なら自分もあるある!えっ、私ってやばい?」って思ってしまう。有名タレントの名前が出てこないとか、高速道路の降り口を間違えるとかで始まって、重大なアポを完全に忘れてしまう、カフェテリアで並んで皿を取ってて、ふと連れを探すと、おおぜいの中で、まったく見つけることができない…

なんか、自分のすぐそばに口を開けてる恐怖って感じで、怖い。誰にでも起こりそうなんですよ、ほんとに。でも実際は、脳が萎縮しているわけだから、単なる物忘れとは違うんですよね。

実はこの映画を見ながら私が恐れていたのは、アルツハイマーの症状の描写がリアルになりすぎることです。ほんの短期間ですが、アルツの祖母と暮らしていたこともありますし、ドラマでそういうテーマのものを見たこともありますが、必ず「シモ」の話が出てくるのです。人間、色々わからなくなってくると、当然ながらどうしても、そちらのほうにも影響が出てくるようです。主人公がこの若さでそういう状態になったら、見ていてどんなに情けなく、つらいでしょうか。

でも映画では、そこまで描きませんでした。まだらにボケて、しっかりしているところはまだしっかりしているって感じなんでしょうか?自分で自分の入る施設を見に行ったりしちゃうしね。そのへんは、実際そういうことがあるもんなのかどうなのか、よくわかりません。しかしアルツハイマー患者の家族の人たちがこの映画を見ると、「現実はこんなもんじゃないよ」とヒートアップしてしまうらしい。やっぱりね。

でもね、そこまでリアリティを追求せずに全体を見ると、私は、かなり泣けました。一緒に行った友達は、「泣けて、でも最後にはすっきりする映画」だと思っていったのに、期待しすぎていた、泣けなかった、むしろ考え込んでしまったと言っていたけど、そんな、アルツがテーマなのに、どうやって「最後にすっきり」するわけがありましょうか、私は想像通りの映画だったので、いろんな場面で泣けましたよ。

自分がアルツだと知っているのに、娘の結婚式で挨拶するときの心境「みなさまへの感謝の気持ちは決して忘れません」って…でも忘れちゃうよね。バリバリ働いていた会社をやめるときの心境、50歳にして老人のような生活になってしまう主人公の孤独、妻への嫉妬。そういう夫を抱える妻の心境…。

治療法はなく、効く薬もない、不治の病、アルツハイマー。これが人生の最終期に来るのなら、病気のひとつだから仕方がないかとも思えるかもしれないけれど(でも周りはかなり大変だけど)、50歳前で発症したら、本人も家族も、どんなにつらいでしょう。死ぬよりもつらいだろうね。渡辺謙は、そういう苦しさを、よく表現していたと思います。うまかったです。その背景に、渡辺謙自身がC型肝炎と闘っているという現実があることを考えると、余計に表情とか、胸を打つものがありますね。

でも、私たち障害児の親は、最初からこれに似た苦労を抱えてるけどね。でも、こどもはちっちゃいから可愛いし、成長する可能性を持ってるからね、少なくとも。

私は専業主婦なので、泣きながらも、やっぱり色々考え込んでしまいました。
今、うちの旦那がこうなったら?たちまち収入がなくなる?いや、保険はどうなってるのかな、アルツには対応してないか…でも収入保障の保険があったよな、etc,,,←めっちゃ打算的やん

それと、主人公は全然家庭を顧みないタイプだったみたいなのに、結婚式のときに娘が、心から「お父さんありがとう」と言っている様子だったり、奥さんも、アルツの診断を受けて大ショックの夫に「私がついてるわ」って抱きしめてあげて、一緒に泣いたり(奥さん役の樋口可南子、いいわぁ、やっぱり)。自分たちは大事にされてこなかったはずなのに、どうしてこの家族はこの人を大事にするのか、というのは、見ながらもちょいと、ひっかかりましたが…このあたりは、やはり原作を読まないと、家族の心の機微とか、わからないのかも。

そうそう、映画の中で渡辺えり子が、「何十年も仕事してない主婦なんて、労働力としての価値は高校生のバイトと同じ、物覚えが悪いぶん、高校生より悪いくらいよ」って言う場面があるんですよ。これには、グサーッ。その通りです、はい。使いものにならないよね、きっと私なんか。この映画では、主人公の奥さんは、親切な友達のおかげですぐに職が見つかり、しかもその仕事も2年間くらいで軌道に乗ってくるんだけど、そんなにうまくいくかよーって思いました。

でもね、家族のことも奥さんの仕事のことも、全部厳しい現実どおりの描き方しちゃったら、この映画、直視に耐えなくなっちゃいそう。だから、これでいいんだと思います。

しかし怖いなぁ。障害のある子がいるというだけでも、なかなか大変なのに、この上、旦那がアルツになったらどうしよう。やっぱり、「食生活」と「ストレス」が大きな原因みたいですよ!ちゃんとしたもの食べさせないとね。そして自分自身もね。手抜きの食事作りをあらためて反省した日でした。

といってもその日は子どものピアノで遅く帰ってきて疲れてしまったので、手抜きスパゲッティにしてしまい、全然反省が生かされていないのだった…でも映画の中に出てきた「かぼちゃ」を、気休めで買ってみたりして(^^ゞ

余談ですが、映画を見る前に、友人がデジカメのデータをカメラ屋さんで現像に出したんですね。それで映画見終わってから受け取りに行ったら、なんと現像できた写真だけでなく、カメラまで一緒に返されてきたの!友人は、SDカードの読み込みする機械の横に、カメラを置きっぱなしにしてきてしまって、しかもカメラを見せられるまでそのことに気がついていなかったのです!

「ギャ~~~ッ、やばいよ~っ」思わず二人で絶叫してしまったのでした。しかしその後、友人の物忘れが特に進んだと言う話は聞いていませんので、大丈夫でしょう(^^ゞ

もひとつ余談ですが、この映画、平日にも関わらず、結構な客の入りでした。渡辺謙のC型肝炎感染告白があったせいもあるのでしょうか。しかも、どういうわけか、お年寄りが多いんですよ!なんで?「若年性」のアルツの話よ?みなさん、「若年性」じゃないお年頃の方ばかりが見て、グッスングッスン泣いていました。なんでぇぇぇ。私なら逆に見たくない気がする、自分がそれくらいの年なら…

この記事へのコメント

きょろ
2006年05月28日 00:45
映画を堪能して来たみたいで良かったですね♪いろいろ考えさせられる映画だよね。渡辺謙も自分の病気を暴露してまで映画をヒットさせたないのか!?と呆れる反面、あっぱれだなと思いました。配偶者になる人にすら病気のことは言いだしにくいのに、よく世間にカミングアウト出来るなと感心しました。でもこれはハリウッドで成功して自信があるから出来ることなんだろうなと思いました。自分に自信を持っていて、世間でも評価されていれば多少のマイナスポイントがあっても大丈夫と思えるんでしょうね。うらやましいことです。自分もがんばらなきゃね♪
2006年05月29日 07:03
そうよね、ちょっとタイミング合わせすぎ?って感はあるよね。
でも、そんなに苦労していても、あそこまで成功しているのは、強い精神力のなせる業でしょう。トム・クルーズといい、なんらかのハンデがあっても、トップで輝いている人ってのは、尊敬しますね。
ところできょろちゃん、「イン・ハー・シューズ」って映画知ってる~?キャメロン・ディアスかなぁ、去年の映画らしいんだけど。主人公がLDやADHDを持っているという設定なんだとか。
きょろ
2006年05月29日 13:18
イン・ハー・シューズは見ましたよ♪キャメロン・ディアスは難読症(これはLDなの?)の障害を持っているという役でした。キャメロン・ディアスがコンプレックスを乗り越えて人間的に成長していくという感じかな。とっても面白かったから見てみて!キレイな靴が沢山出てくるのも楽しいです♪

この記事へのトラックバック